40年前に既に存在した!? 世界初のエアロロードバイクについて
今月も某書店でちゃんとBICYCLE CLUBを買いました。
どうもライターのMIYOSHI です。
今回は、エアロロードバイクの歴史、特に黎明期のエアロロードについて解説していこうと思います。
というのも、個人的に何かの歴史とか調べるのが大好きで、今回はエアロロードバイクを題材に取り上げていろいろと調べてみました。
注意!
今回はとんでもなくマニアックなネタです。
特に後述するエアロマシンの解説してる日本のサイトがほとんどなくて、海外情報を取り入れてるのでもしかしたら少し間違ってるところもあるかもしれませんが、ご了承ください…。
エアロロードバイクは40年前にもう既に存在した!?
2005年に発売されたCERVEROのソロイスト カーボンで「エアロロードバイク」というカテゴリが確立して、2011年発売のSCOTT 初代FOILがエアロの歴史を変え、2018年発売のSPECIALIZED S-WORKS VENGE(3代目)でエアロロードが一種の完成形となり、同じくSPECIALIZED S-WORKS TARMAC SL7が究極のセミエアロロードとして大ヒットして....という風にエアロロードは常に進化し続けています。
そんなエアロロードですが、実は40年ほど前にも存在していたのです!
シマノ デュラエース7300 AXシリーズ
実は、約40年前にもエアロブームがあり、そのきっかけとなったのが1980年発売のシマノ・デュラエース7300 AXシリーズです。
FICTION CYCLES http://fiction-cycles.blogspot.com/2011/11/dura-ace.html?m=1
80年代のエアロバイクhttp://www.dst.itsudemo.net/~fujiken/bikes/AeroBike/Aerobike3/Aerobike3.html
今はコンポーネントメーカーとして世界中で覇権を握っているシマノですが、なんとこのAXシリーズは風洞実験施設まで作って開発されたそうです。
その結果、当時大きな注目を浴びて国内外問わず多くのメーカーに影響を与えました。
フリーハブやエアロ形状のレバーなど今につながる機構も多くみられます。
しかし、当時のシマノにはこのAXを煮詰める余裕がなかったらしく、互換性の低さや強度不足などの問題点も多くみられ、発売から2年ほどで姿を消したそうですが、これらの技術は現在のシマノ コンポーネント類にも引き継がれ、結果的に必要な存在だったと言えます。
その後、7400系からstiを搭載した7410系、7700系、7800系、そしてかの有名な7900/7970(Di2)、9000/9070、R9100/R9170と何度も世代変更を繰り返しながらつながっていきました。
GITANE PROFIL
さて、前述の通り世界初のエアロコンポーネント・デュラエース7300 AXを使って組み上げられた(恐らく)世界で最も古いエアロロードバイクが、GITANE PROFIL です。
SpeedCycles https://www.speedbicycles.ch/velo/288/gitane_profil_1980.html
GITANE(ジタン)は1930年にフランスで創業されたブランドで、過去にはツールドフランスでの優勝経験もある一流ブランドでした。
ジダンじゃないですよ。ジタンですよ。
現在は、低価格帯の自転車のみ販売しているらしいです。
そのGITANEが開発したのがこのエアロマシンです。
1980年製で、当時のカテゴリー分けではエアロTTバイクになっています。
重量はなんと9.0kg(だいたい57サイズ)で、僕の所有してるoptimo君より軽いです(泣)。
コンポーネントは前述の通り全てDURA-ACE AX、クランクのギア比が52-42tと今ではとても珍しいギア比になっています。
スプロケットは7段で、今でいうclarisより1枚少ない構成です。
よく見ると、トップチューブ以外のほぼ全てのチューブの断面がティアドロップ型、つまりエアロ形状になっています。
後ろから見ると、その細さがよくわかりますね。
ケーブルもフレーム内装型になっていて、細かいところまで空気抵抗を意識していたことがわかります。
このトゥークリップのペダルはDDペダルといって、シマノが独自に開発したペダルのようですが破損が相次ぎ、このAXシリーズを最後に廃盤となったそうです。
余談ですが、ビンディングペダルの原型といえるCinelliのクリップレスペダル(M71)は、既に1971年に登場していましたがあまり普及せず、一般的に普及し始めたのは1984年にLOOKが発売したPP-65からと言われています。
BICYCLE CLUB 2021年3月号より
(上:Cinelli M71,下:LOOK P-65)
ツール・ド・フランスとGITANE PROFIL
さて、話は戻りますがこのGITANE PROFILは、80年代に活躍した強豪チーム「ルノーエルフ」も使用しており、このエアロ機を真っ先にレースに取り入れたルノーチームのおかげで後々エアロブームが巻き起こったと言っても過言ではありません。
RENE HERSE http://www.reneherse.com/gitanearbes.html
ちなみにルノーチームのエース、ベルナール・イノーはツール・ド・フランスで総合優勝を5度も成し遂げています。
また、過去に5度優勝してる選手は4人だけで最多優勝回数タイとなっています。
現在は、クリス・フルームが4度優勝しているのであと1回優勝したら記録に並びますね!
※ランス・アームストロングはツール7連覇を成し遂げましたが、7回すべてにおいてドーピングを使用していたため、記録抹消されています。
そしてその後エアロブームが巻き起こり、各メーカーがエアロダイナミクスを取り入れた開発を進め、その結果今日のエアロロードバイクにつながっているのです。
さて、今回はかなりマニアックな話題を取り上げましたが、話題がマニアックすぎて執筆に5時間くらいかかってしまいました。
なんかこのロードについて調べてたら、希少価値が高いのか海外で4000ドルで売られてて度肝を抜かされました(笑)。
僕もいつかビンテージバイクを買いたいですね〜。
といってもRADACとか安い類のものしか買えそうにないですが(笑)。
とりあえず、また明日も記事を投稿しますのでお楽しみに!
2021年 1月27日 #14 40年前に既に存在した!? 世界初のエアロロードバイクについて
ライター/MIYOSHI